1989年

1989年総評

元号が昭和から平成に変わったこの年、音楽界も劇的な変化を迎えた。
TBSテレビの深夜番組「イカすバンド天国」が爆発的な「バンドブーム」を呼び起こした。
この番組から次々とバンドがデビューし、「出れば売れる」状態で、ロックバンドの飽和状態を引き起こす。

音楽業界はこのブームに見事に乗っかり、「とりあえずデビューさせてブームが過ぎたら切り捨てる(契約を切る)」方法をとった。
「10年間一線級で活躍できるアーティスト」よりも「一時的に数10万枚売れる一発アーティスト」のほうを選んだのである。
ここにおいて、アーティストの育成も実質上崩壊し、「育てながら売る」・「3枚目のアルバムが勝負」といった従来の方法論が通用しなくなった。俗に言う「飼い殺し」状態である。
むしろ、音楽業界もすでに大衆が生み出す「ブーム」についていけず「数撃ちゃ当たる」といった手探り状態であったというほうがいいかもしれない
結果、熾烈な生存競争が始まり、インパクトで勝負(のちのビジュアル系へのつながる)か、大衆を意識した、キャッチーな「ポップロック」が多数あらわれ、ロック本来の「反骨精神」は失われロックは実質上崩壊する。

またニューミュージックは、オフコース・チューリップの解散にみるように完全に淘汰され、そこをバンドブームが強引に割り込んできて、従来の流れは強引に断ち切られたのである。
今までも、幾度となく世代交代の局面はあったが、必ずといっていいほど先代の「意志」は引き継がれていたが、ここにおいて(少なくともロックにおいては)完全にリセットされ、今までシーンを支えてくれた先代への敬意は失われ、ゼロ<無>からのスタートとなったのである。

reflectionsが選ぶ 1989年BEST ALBUM

①KATZE「STAY FREE」
①杉真理
「Ladies & Gentleman」
③佐野元春
「ナポレオンフィッシュと泳ぐ日」
④小比類巻かほる
「TIME the MOTION」
⑤THE TIMERS
「タイマーズ」
⑤横山輝一
「YOU GOT IT!!」
⑤UNICORN
「服部」
⑤岡村靖幸
「靖幸」
⑤BO GUMBOS
「BO & GUMBO」
⑤ROUGE
「VIVA」

1989年アルバムセールスBEST 10

松任谷由実
「Delight Slight Light Kiss」
157.6万枚
久保田利伸
「The BADDEST」
96.4万枚
長渕剛
「昭和」
87.6万枚
中森明菜
「Best Ⅱ」
79.7万枚
TM NETWORK
「CAROL」
66.0万枚
杏里
「CIRCUIT of RAINBOW」
64.9万枚
BOφWY
「SINGLES」
64.2万枚
光GENJI
「Hey!Say!」
63.1万枚
工藤静香
「gradation」
61.6万枚
ハウンドドッグ
「GOLD」
60.9万枚

1989年シングルセールスBEST 20

プリンセスプリンセス
「Diamonds」
81.5万枚
プリンセスプリンセス
「世界で一番熱い夏」
75.9万枚
長渕剛
「とんぼ」
74.6万枚
光GENJI
「太陽がいっぱい」
68.2万枚
WINK
「愛が止まらない」
63.0万枚
工藤静香
「恋一夜」
60.7万枚
WINK
「淋しい熱帯魚」
54.9万枚
工藤静香
「嵐の素顔」
52.4万枚
工藤静香
「黄砂に吹かれて」
52.4万枚
WINK
「涙を見せないで」
52.3万枚
光GENJI
「地球をさがして」
47.2万枚
長渕剛
「激愛」
44.2万枚
男闘呼組
「秋」
42.5万枚
斎藤由貴
「夢の中へ」
40.8万枚
浜田麻里
「Return to Myself」
40.7万枚
男闘呼組
「TIME ZONE」
35.4万枚
松任谷由実
「ANNIVERSARY」
35.3万枚
BAKUFU-SLUMP
「Runner」
32.5万枚
ZIGGY
「GLORIA」
31.3万枚
BAKUFU-SLUMP
「リゾ・ラバ」
31.2万枚

掲示板はこちら
[HOME /各年総評 /コラムINDEX]